集合と基数の説明

前のエントリ(ベルンシュタインの定理)がわからないと不評だったのでまず集合論の基礎から図をつけて説明しようと思いたった。それぞれの図はVisio 2010で作成して、PNGに変換した。このエントリの内容は前エントリの諸定義の部分である。
fが集合Aから集合Bへの写像であるとは、各a∈A(Aの要素a)に対して、b∈B(Bの要素b)が定まることをいう。この時bをf(a)と表す。また、{f(a)|a∈A}をfによるAの像といい、f(A)で表す。


AからBへの写像fが単射であるとは、 f(x) = f(y) の時、必ず x = y となることをいう。

AからBへの写像fが全射であるとは、どんな b∈B に対しても、 a∈A があって f(a) = b となる。つまり、f(A) = B である。

AからBへの写像fが1対1対応(全単射)であるとは、fが単射でかつ全射であることをいう。AからBへの1対1対応(全単射)fが存在するときAとBは基数(濃度)が等しいという。

最初に出会う無限は自然数全体の基数である。

  • 自然数全体と偶数全体の基数は等しい。nと2nを対応させると1対1対応となる。
  • 自然数全体と整数全体の基数は等しい。対応を考えると頭の体操になる。
  • 自然数全体と自然数2個の組全体の基数は等しい。対応を考えると頭の体操になる。
  • 自然数全体と有理数全体(分数全体)の基数は等しい。対応を考えると頭の体操になる。
  • 自然数全体と自然数N個の組全体の基数は等しい。ここでNは自然数とする。対応を考えると頭の体操になる。

実は、自然数全体よりも「大きい」無限大もある。

  • 自然数全体と実数全体の基数は等しくない。
  • 自然数全体と自然数の無限個の組全体の基数は等しくない。
  • 自然数全体と自然数全体の部分集合全体の基数は等しくない。
  • 自然数全体と無限数列全体の基数は等しくない。
  • 自然数全体と自然数から基数が2以上の集合への写像全体の基数は等しくない。

これらはいわゆるカントールの対角線論法によって証明できる。
とりあえず、このエントリはここまでとする。