地球上には必ず、地球の中心に対して反対側の場所と同じ温度でかつ同じ気圧の場所の対がある。

4月3日は、数学者スタニスワフ・ウラムの誕生日でした。
Stanislaw Ulam - Wikipedia, the free encyclopedia
ウラムはこんにちボルスク・ウラムの定理呼ばれる定理を予想しました。ボルスクが証明しました。

n次元球面からn次元ユークリッド空間への連続写像 f に対して、対蹠点(球面の原点0に対して反対側の点)の対 (X, - X)が存在して、f(X) = f(-X)

定理の n = 2 の特別な場合で日常的表現として

地球上には必ず、地球の中心に対して反対側の場所と同じ温度でかつ同じ気圧の場所の対がある。

というのがあります。これは直観ではなかなかわかりづらいですね。しかし、数学の面白さがわかる事実だと思います。

n = 1 の場合

円周の点に対して実数を対応させる連続関数 f は、像が同じ値f(X) = f(-X)になる対蹠点の対を持っている。

ということになり、これはグラフを書いてみれば簡単にわかります。

円周を単位円すると、円周上の点は(cos\theta, sin\theta)で表され、連続関数 f による値は\thetaの連続関数g とみなせる。
連続関数g のグラフを横軸:\theta、縦軸:g(\theta)として描く。
f が円周の上の関数だから、 g の定義域は-\pi<=\theta<=\piとみなせる。特に、g(\pi) = g(-\pi)
関数h:\theta \rightar g(\theta-\pi)を考える。この関数のグラフはg-\pi<=\theta<=0部分を右に\piだけ平行移動したものとなる。
また、(cos(\theta-\pi), sin(\theta-\pi)) = -(cos\theta, sin\theta)だから、(cos\theta, sin\theta)の対蹠点。
hのグラフは(0, g(\pi))から、(\pi, g(0))への連続曲線であり、もとのgのグラフは(0, g(0))から\pi, g(\pi))への連続曲線。よって、これらのグラフはどこかで交わる。つまり、ある\alpha(0<=\alpha<=\pi)があって、h(\alpha) = g(\alpha)となる。
このとき、(cos(\alpha-\pi), sin(\alpha-\pi))は、(cos\alpha, sin\alpha)の対蹠点。
もとの連続関数 f がこの点の対の上で、同じ値をとることがわかる。

n=1の場合は成り立つことがわかりました。これだけでもなかなか面白いですね。