「平均」について
「平均」を改めて調べてみると面白い。
通常「平均」というと、いわゆる算術平均(相加平均)のことである。数字の集合にあるすべての数すべて足して、その全体個数で割った値で定義される。その集合を代表する値となる。
もちろん元の集合に一致する数がない場合のほうが多い。それにもかかわらずに元の集合を代表するのである。
昔、中学校の教科書か参考書で一般家庭の人数を表すのに、一人当たりが人間のマークで表現されていて、全国平均で小数部分を表現するのに同じ人間のマークが縦にバッサリ割られて表現されていてショックを受けた。
確率論では「期待値」という側面も持っている。得点を伴う繰り返し試行で期待される得点を表現し、賭け事では損得の勘定に使用される。統計学でもまずは「平均」を学習するようだ。重要な概念である。
平均は算術平均(相加平均)のほかにも、
幾何平均(相乗平均)
調和平均
がある。
- [Link]「平均 - Wikipedia」 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%9D%87
- [Link]「Average - Wikipedia, the free encyclopedia」 http://en.wikipedia.org/wiki/Average
- [Link]「Arithmetic mean - Wikipedia, the free encyclopedia」 http://en.wikipedia.org/wiki/Arithmetic_mean
- [Link]「Geometric mean - Wikipedia, the free encyclopedia」 http://en.wikipedia.org/wiki/Geometric_mean
- [Link]「Harmonic mean - Wikipedia, the free encyclopedia」 http://en.wikipedia.org/wiki/Harmonic_mean
ExcelにもGEOMEAN関数, HARMEAN関数が用意されている。たとえば・・・
A | B | =AVERAGE(A,B) | =GEOMEAN(A,B) | =HARMEAN(A,B) |
---|---|---|---|---|
10 | 90 | 50 | 30 | 18 |
幾何平均は成長率など増大の度合いの平均として使用する。調和平均は電気抵抗の並列時の結果の並列部分全体の抵抗としての値である。私は、正直言って幾何平均や調和平均が日常で積極的に活用されているところを見たことがない。
これらの平均に関する有名な定理として、
相加平均 ≥ 相乗平均 ≥ 調和平均
が成り立つ。この不等式はさまざまところで使用される。
この3つの平均を一般化したべき平均(一般化平均)というものがある。
さらに、関数で一般化したf-平均と呼ばれるものもある。
- [Link]「Generalized mean - Wikipedia, the free encyclopedia」 http://en.wikipedia.org/wiki/Generalized_mean
- [Link]「Quasi-arithmetic mean - Wikipedia, the free encyclopedia」 http://en.wikipedia.org/wiki/Generalized_f-mean
べき平均で面白いと思ったのは、式の形を見る限り算術平均と調和平均を特殊な場合として含むことが明らか(p=1,p=-1)であるが、なんと式の形の異なる幾何平均もp→0の極限値として含むのである!
以下のように証明できる。e^xを指数関数、lnを自然対数関数とする。
ここで、テーラー(マクローリン)展開により
よって、pで割ると
p→0として、
指数関数expの連続性により、p→0のとき、
証明終わり。
和の形式の一般化が積の累乗根である幾何平均まで表してしまうとは驚きである。べき平均(一般化平均)が平均の自然な一般化であるということも表している。さらに一般化平均はp→∞の時は最大値関数、p→-∞のとき最小値関数となるのである。
平均は実に興味深い概念である。